VOCとは、揮発性有機化合物(Volatile Organic Compounds)の略称で、塗料、印刷インキ、接着剤、洗浄剤、ガソリン、シンナーなどに含まれるトルエン、キシレン、ホルムアルデヒドなどが代表的な物質であり、光化学オキシダントなどによる大気汚染の原因の一つとされています。
 近畿経済産業局では今年度、VOC排出抑制の自主的取組を実践する中小企業等について調査しました。調査の中で、多くの企業において、VOC排出抑制の取組を通じて、省エネルギー化、コスト削減、作業環境の改善、新規顧客の獲得など新たな付加価値を創出し、持続可能な会社や社会の未来につなげていることを確認しています。
 本セミナーでは、先進的なVOC削減策を実践する企業事例3例に加え、VOCをはじめとする大気汚染の動向や大気汚染防止に向けて企業が果たすべき役割などについて紹介します。 ご関心のある方は是非ご参加ください。

プログラム
●主催者挨拶
経済産業省 近畿経済産業局 資源エネルギー環境部 部長 
杉浦 孝志
●講演、報告:VOC排出抑制の最新動向
事業者団体におけるVOC 排出抑制に向けた自主的取組等の状況、活用可能な支援策などについて紹介します。
経済産業省 産業技術環境局 環境管理推進室 室長補佐 
大神 広記
●特別講演:大気汚染の現状とVOCの役割
VOCをはじめとする大気汚染対策等の全体像や世界的な動向、VOC規制の状況、大気汚染防止に向けて企業が果たすべき役割などを紹介します。
京都大学大学院 人間・環境学研究科 相関環境学専攻 教授 
梶井 克純 氏
●調査報告:最新のVOC排出抑制事例について
事務局(近畿経済産業局)より、調査を行った最新のVOC排出抑制事例について、事例集をもとに調査報告を行います。
●事例紹介:VOC対策を通じて、企業価値の向上を志向する企業事例
VOC排出抑制の取組を軌道に乗せることで、カーボンニュートラルや省エネルギー化、コスト削減、作業環境の改善、新規顧客の獲得など、様々な効果を発揮し、企業価値の向上につなげている事例を3件紹介します。
事例紹介1:VOC排出抑制に取り組む理由 ≪点ではなく線で考える企業存続≫
有限会社本間産業 代表取締役 
本間 尚貴 氏
事例紹介2:「ガソリンベーパー回収装置設置を、環境活動やSDGsの取組としてアピールするガソリンスタンド」
タイガー石油株式会社 執行役員 
川上 治時 氏
事例紹介3:「安全はすべてにおいて優先する」~職場環境の改善とVOC対策~
カナヱ塗料株式会社 取締役 兼 技術開発・製品化Div. 統括推進部長 
大賀 幸二 氏
●意見交換「持続可能な会社や社会の未来につなげるためのVOC対策の取組ポイント」

VOC排出抑制対策セミナー 
持続可能な会社や社会の未来につながるVOC対策事例

~VOC対策はカーボンニュートラル、省エネ、コスト削減、健全な職場環境づくりにも有効です!~

  • 2023年年1月25日(水)
    14:00 ~ 17:00
    ■ドーンセンター
    (大阪府立男女共同参画・青少年センター)  大会議室1
    ■参加費無料
    ■ハイブリッド開催
    (会場30名 ・ オンライン*300名)
    *Microsoft Teams 開催
    (開催前に配信アドレスを参加者へ送付します)
    ※コロナウイルス感染拡大等の状況によっては、
    フルオンライン開催となる可能性がございます。
  • お申し込み方法 (締切 1月23日 (月)まで)

    お申し込みは締め切りました。

    【講演者プロフィール、取組内容等】

    経済産業省 産業技術環境局 環境管理推進室 室長補佐
    大神 広記 氏

     2022年6月より現職。事業者における大気汚染対策の推進を担当している。

    京都大学大学院 人間・環境学研究科 相関環境学専攻 教授
    梶井 克純 氏

     東京工業大学大学院博士課程修了後、東京工業大学助手、東京大学先端科学技術研究センター助教授、東京都立大学教授等を経て2012年より現職。研究分野は大気化学、環境化学、物理化学で、自動車排気ガスの精密計測、植物から発生するVOC分析、大気質診断法の開発、レーザー分光法による大気ラジカル計測システム開発などを実施している。現在、経済産業省「産業構造審議会 産業技術環境分科会 産業環境対策小委員会」委員、環境省「中央環境審議会 大気・騒音振動部会 微小粒子状物質等専門委員会」委員を務めている。堀場雅夫賞(2010年)、大気環境学会学術賞(2020年)受賞。

    有限会社本間産業 代表取締役
    本間 尚貴 氏

     本社は新潟県燕市。金属製品の工業製品向け脱脂洗浄の洗浄受託業者で、本間氏は同社の2代目。洗浄液として使用するトリクロロエチレン由来のVOCを工場から排出抑制するための工夫や、トリクロロエチレンを使用しない炭化水素洗浄システムを確立することで、トリクロロエチレン使用量を1/3に削減し、購入費の大幅減少も達成。また、VOC排出抑制策をはじめとする環境対策の取組状況や測定結果を積極的に情報公開することで、環境対策に積極的な企業として県外企業からの受注が年々増加している。環境貢献を目指し、2022年8月にISO14001:2015の認証を取得。新潟県環境保全連合会より「令和4年度 環境保全優良表彰事業所」として表彰された。

    タイガー石油株式会社 執行役員
    川上 治時 氏

     本社は大阪市鶴見区。ガソリンスタンド運営を中心に、洗車専門店、自動車整備工場、車両販売・買取、レンタカー、各種保険代理店、介護事業などにも広く事業展開。同社が運営するセルフサービス方式のガソリンスタンド2ヶ所において、各種ガソリンベーパー回収装置を設置し、ガソリンベーパーを回収し、再度液化・再利用することで、大気環境配慮型SSの認証制度「e→AS」ランクS(燃料蒸発ガス回収率95%以上)を獲得するのに加え、ランニングコストの削減も実現。環境活動やSDGs経営の取組として積極的にアピールを進めている。

    カナヱ塗料株式会社 取締役 兼 技術開発・製品化Div. 統括推進部長
    大賀 幸二 氏

     本社は大阪府大阪市。船舶・産業機械・建材分野を主力とする塗料メーカー。社内から排出されるVOCの98%を占める塗料製品に着目し、水性塗料の普及が遅れている船舶および産業機械分野に向けて、画期的な水性塗料「ALQUAシリーズ」ならびに周辺技術を開発。「ALQUAシリーズ」の特徴である作業性や廃棄物の削減は、顧客や塗装機メーカーの協力のもと開発。塗装工程や必要とされる設備、廃液処理方法など顧客に最適なシステムを提案し、水性塗料のメリットを訴求しながら販売展開している。